Effectiveness SPECIAL対談−「郷ひろみ」として効果性(Effectiveness )を発揮し続けてきたこの40年間、それは「思考、活動、継続」として刃を研ぎ続けてきた歴史。  郷ひろみ×スティーブン・R・コヴィー

郷ひろみ
[歌手]

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スティーブン・R・コヴィー
[フランクリン・コヴィー社創設者、副会長]

(進行)竹村富士徳
[フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社代表取締役副社長]

日本のエンターテイメント界で、約40年にわたりトップランナーとして走り続ける郷ひろみ氏と、世界で最も大きな影響力を持つビジネス思想界のカリスマ、スティーブン・R・コヴィー博士。
2010年7月28日、ザ・リッツカールトン東京の一室で、この大変興味深いお二人の顔合わせが実現しました。10代の頃からセルフ・リーダーシップを発揮し、自己を磨き向上し続けてきた、郷氏の清々しいまでにまっすぐな生き方と行動力に、コヴィー博士が思わず「心から感動した」と漏らした、まさにEffectiveな対談をお楽しみください。

●郷ひろみ(ごう・ひろみ)

1955年 福岡県生まれ。72年1月、NHK大河ドラマ『新・平家物語』で芸能界デビュー、同年8月に『男の子女の子』で歌手デビューを果たし、一躍トップアイドルの座を獲得する。
『よろしく哀愁』、『哀愁のカサブランカ』、『お嫁サンバ』、『2億4千万の瞳』、『言えないよ』、『Goldfingar99’』ほか、数多くのヒット曲を持ち、今なおジャパニーズポップスの王道を走り続ける。
2010年春に発売された『僕らのヒーロー』は、NHK「みんなのうた」の6-7月の放送曲としても人気を博した。

●スティーブン・R・コヴィー

1932年、米国ユタ州生まれ。フランクリン・コヴィー・グループの創設者、コヴィー・リーダーシップ・センターの創立会長。約30年間にわたり、アメリカの最優良経営コンサルタントとして活躍し、現在も世界各国の政府やリーダーのコンサルタントとして活躍中。世界で最も大きな影響力を持つビジネス思想家の一人といわれる。コヴィー氏が著した『7つの習慣~成功には原則があった!~』は、世界20か国で2,000万部を超えるミリオンセラーを記録している。

■本質を充実させないと、歌手としても一人の人間としても成立しない

竹村
郷ひろみさんは、エンターテイメントの世界で約40年もの間トップランナーとして走り続けていらっしゃいます。一方、コヴィー博士は、『7つの習慣~成功には原則があった!~』(キングベアー出版)という、世界中で最も多く読まれているビジネス書の著者であり、私ども、フランクリン・コヴィー社の創設者でもあります。
本日は、このように大きな影響力を持たれるお2人の顔合わせが叶いましたので、郷さんがどのようにして長年にわたりエンターティナーとして支持されているのか、すなわち、どのように得たい結果を得続けているのか、「効果性」を発揮し続ける秘訣について、コヴィー博士とじっくり語り合っていただければと思います。
『7つの習慣』でいわれている「効果性」というのは、「効果」とは微妙に違うわけですよね。一過性のものではなく、継続的なわけですよね。
僕の場合、小さい頃はものすごく飽きっぽかったんです。しかしこの仕事を始めて40年近く経ちますが、全くモチベーションが下がらないんですね。15歳でデビューし、瞬く間にアイドルスターと言われるようになりましたが、1年、2年、3年とやっていくうちに、自分には何もできない、歌えない、踊れない、しゃべれない、ということが見えてきて、このままでは遅かれ早かれ自分は終わるな、と思いました。それで19歳のとき、自分の意志でニューヨークに行き、ダンスやボーカルのトレーニングを受けたんです。短い滞在でしたが「僕はこれからも自分を向上させ続けなければいけない、だから絶対またここに来よう」とその時、強く心に誓いました。
人間、きれいとかカッコイイとかいわれるのは、人生の中のほんの一瞬ですよね。だから、「一生を通して自分が本当に納得できる仕事をしていくには、どうするべきか」ということが常に頭にありました。本質を充実させて、そこをしっかりしたものにしていかないと、歌手としても成立しないし、一人の人間としても成立しないんですよね。だから僕は、人が自分をどう見るかなどは気にせず、自分が怠けているか怠けていないか、やった自分とやらなかった自分がどう違うかを常に考えるようにしています。そこは自分自身が一番よくわかることですから、気になるし、手を抜けないんです。

■モチベーションを高位で保つコツ

竹村
当時の郷さんは、アイドル中のアイドルでしたよね。あれだけの熱狂のただ中で、まだ10代というお若いときから、冷静であり、非常に高い意識をおもちでいらしたことに驚きました。
コヴィー
お若い頃から、揺るぎない主体性と高いモチベーションを持ち続けておいでですね。競争の激しい世界で、長年トップにおられる理由がわかるような気がします。
僕の中でいつも大切にしていることが3つあるんです。
1つは、自分がこうなりたいという明確な目的を持つこと。社長になりたい、歌手になりたい、英語を話したい、何でもいいのですが、とにかく目的を持ち、それについてあれこれ思考することが大切だと思うんです。
2つ目は、そうやって考えたことを行動に移すこと。たとえば英語ができるようになりたいと思ったら、学校に行く。仕事で忙しいとか、時間がないとか、そういういい訳でストップさせずに、とにかく行動する。
そして、最後の3つ目は、継続です。継続には終わりがないから、運動を一度始めたら60歳になっても70歳になっても続けないといけないのか、と思われるかもしれませんが、1つのことを3年もやれば見えてくるものがありますよね。そこまで続けるのがたぶん一番大変で、そこから先、どこまで目指すかは、自分自身との戦いになってくる。確かに終わりはありませんが、逆にある意味、楽しみにもなり得るわけで。
「思考、行動、継続」、この3つを強く意識していることが、モチベーションを高く保つことにつながっているのかもしれませんね。
コヴィー
明確な目的を持ち、自分のコンディションを整え、社会に貢献し、そして優先事項が何なのかをしっかり意識され、それを必ず最優先させておられる。郷さんは、すでに私的成功を手に入れています。そして、人々から愛され、人々のニーズを理解し、それを提供する能力がある。つまり、「理解してから理解される」を実践し、公的成功も収めています。素晴らしいですね。
竹村
郷さんのここまでのお話の中に、『7つの習慣』の中の「効果性」「目的を持って始める」「重要事項を優先する」「継続して習慣化する」、その辺りが全部入っていることに驚きました。コヴィー博士はどう思われましたか。
コヴィー
私が思うに、郷さんの中でシナジーが起こっているのではないでしょうか。1つひとつのお答えや実践も素晴らしいですが、それ以上に、それらすべてが郷さんというパーソナリティーの中で合わさったことで、シナジーを発揮し、より大きな効果を得ている気がします。「効果性」という意味でも、まさに素晴らしい実践をされている方だと感じました。

■家族が最優先、という考え方へのスタンス

コヴィー
郷さんはご結婚されていますか? お子さんはいらっしゃいますか?
今は独身ですが、2回結婚していて、娘が2人います。
竹村
コヴィー博士のご一家は大家族なんですよ。ひ孫まで入れると全部で何人いらっしゃるんでしたっけ?
コヴィー
84人です。
すごい! ご結婚は1回だけなんしょう?
コヴィー
子どもが9人いまして、おかげで孫やひ孫にも恵まれました。個人的に、これ以上の成功はないと考えています。
僕にはとても無理だったなあ……。
竹村
郷さん、これからですよ(笑)。
6、7年くらい前、ある友人に言われたんです。「君は常に仕事が最優先だけれど、家族が優先順位の最初に来なければいけないよ」と。でも、仕事があるから家族を守っていけるわけで、当時の僕にはピンと来なかった。その数年後、自分自身について考えるきっかけがあって、やはり家族がプライオリティのトップに来なければいけないのかな、と考えるようになりました。
竹村
そのきっかけというのは……。
2回目の離婚です。「なんで僕にとって結婚はこんなに難しいのかな」と考えたとき、先ほどの友人の言葉を思い出したんです。これが本当の意味で自分の中にすとんと落ちたとき、たぶん次の結婚に進めるんじゃないかな、なんて思っているんですが。
コヴィー
ぜひ、新しい家族をつくってください。人生がより素晴らしいものになりますよ。

■貢献の本質を掘り下げていくと……

竹村
郷さんにしかできないこと、郷さんだけが果たせる貢献ということについて、伺いたいと思います。郷さんは10年以上前からチャリティー活動をされていて、東南アジアに学校も設立されているそうですが、独自の貢献についてどのようにお考えですか。
15年くらい前から国内外のチャリティーに積極的にかかわるようになったのですが、こういうものは、ある意味、わかりやすい貢献だと思うんです。じゃあ、本当の意味で与えていくとはどういうことだろうと考えると、自分が学んできたこと、たとえば僕が親から受けた躾をきちんと後世代に伝えていくことなども、心のこもった大切なプレゼントになるような気がします。そういう意味では「叱る」ということも貢献の1つになるのかもしれません。
竹村
郷さんはリーダーとしての役割もお持ちですものね。
僕は人に自分の考えを押しつけるのが好きじゃないんです。聞かれたら、自分の経験として答えることはしますが、「僕がこうしたから、君も絶対にこうしたほうがいいよ」とはいいません。育った環境も、成長していくスピードも、みんな違いますから。
大事なのは、自分の経験から出たものを伝えることですね。僕の周囲には常に大勢のスタッフがいますから、そこで教えていくには、絶対に妥協しない、手を抜かない、常に緊張感を持っている、そういう自分の姿、背中を見せ続けることが最も大切なんじゃないかなと思うんです。僕がいいかげんにやっていれば、スタッフも「俺たちもこんなもんでいいかな」と思ってしまうでしょう。そこを言葉で叱ってみても説得力がありませんよね。でも、僕が今やるべきことに100%情熱を注ぎ、お客さんに対して常に完璧なものを見せるという姿勢でやっていれば、僕が言葉で何かいわなくても、同じような気持ちになって、自分たちから主体的にやってくれるようになるんじゃないかな、と。
僕が思うに、自分に厳しい人は他人に優しくなれるし、自分に甘い人は他人に厳しいような気がします。
コヴィー
周囲の方にとても配慮なさっていることがよく伝わるエピソードですね。周囲や社会のことも気にかけながら、自己研鑽しながら、ご自分の夢を実現しようと、日々前進されている。そして、そうした実行のすべてが、ご自身の経験に基づいているところが、また素晴らしいと思います。

■自分から失われることのない財産を手に入れる

40代半ば、1回目の離婚の後に、自分が探していたものを再度見つけたいと思い、音楽活動を休止して、3年間ニューヨークに渡りました。実は活動休止を決めた時期には、ヒット曲も出ていて状況が好転していました。3年後にアメリカから戻って活動を再開したとしても、以前と同じような恵まれた状況で仕事ができるとは限りませんし、リスクは確かにありました。普通の人であればそこでアメリカ行きを延期するのかもしれないけれど、僕は不思議とぶれなかったんですね。「もっとちゃんと歌いたい」という情熱、目的意識のほうが勝っていたんです。うまくいっていてもダメになるときはダメになるのだから、今、目的を決めてアメリカに渡ったことで仕事を失ったとしても、僕は決して後悔はしないだろう、と。
そういう意識で臨んだら、セリーヌ・ディオンやホイットニー・ヒューストンなどを教えている、世界で3本の指に入るというボイストレーナーに出会うことができました。そして毎朝毎晩とみっちり3年間トレーニングを続けたら、探していたものがついに見つかったんです。歌手として長年探し求めていた、卓越した歌のテクニックを手に入れることができたんです。それは「砂浜で10カラットのダイヤモンドを見つけた!」みたいな感覚でした。
英語を覚えたこと、ダンスができるようになったこと、自分の歌が歌えるようになったこと、これら全て自ら努力して自分の中に取り込んだものは絶対になくならない、決して自分から失われることはない、僕はそのことをニューヨークで再確認できました。それに、こういうものを自分の中にどんどん増やしていくと、人生が楽しくなると思うんです。
歌手として、磨き抜いたパフォーマンスを見せることが僕の貢献であることはもちろんですが、「俺にはできないな」と諦めてしまう人に、「僕もそうだったよ、何もできなかったちっぽけな自分でも、頑張ったらできたんだ!!」と、こうやってお手本を見せることも、1つの貢献になるような気がします。
竹村
郷さんくらいの方であれば、非常に特別な、自分にしかできない貢献というものを、お話しになるかと思っていたので、今のお話はとても意外であり、また感銘を受けました。コヴィー博士はどうお感じになりましたか。
コヴィー
まず、とても誠意を持ってお答えいただいていると感じます。その明晰さ、心の底から本音で語られているところが素晴らしいと思いました。さらに、周りの人々に貢献したいという思い、継続的にどんどん成長していきたいという思いも、非常に真摯なものだと感じます。郷さんは、おそらく、ご自身で気づかれていないような形でも大きな貢献を果たしていらっしゃるのではないでしょうか。

■自分の中をできるだけピュアに保っておきたい

竹村
人格を磨くために、特に意識して実践されていることは何かおありですか。
年齢を重ねていくと、誰でも嫌なものを見たり、嫌な経験をしたりして、それなりにみんな、汚れていくわけですよね。でもできるだけ僕はピュアでいたいと思うんです。だからというわけでもないのですが、毎朝起きると、まず家にある神棚のお榊のお水を変えて、二拍手一礼します。
コヴィー
「刃を研ぐ」という意味でも、とても素晴らしい習慣ですね。『7つの習慣』の第七の習慣は「刃を研ぐ」、すなわち、肉体的、知性的、精神的、社会的、この4つの側面を磨くことで自分自身を再新再生することの必要性を説いていますが、郷さんはすでにそのすべてを実行されています。
他人の目をごまかすことはできても、自分の心はごまかせません。悪いことをしたら悪いことが返ってくるし、いいことをしたらいいことが返ってくる。悪いことをしないのが一番いいわけですが、人間はたまに過ちを犯してしまう。だからこそ僕は、自分の中をできるだけピュアに保っておきたいと思うんです
それと、僕は自分では大器晩成型だと思っていて、現在54歳なのですが、真の成功は60歳から始まるとずっと考えてきたんですよね。そのためにも「最高の60代にするために、僕は今、何をしなければいけないか」を常に考え、行動するようにしています。
コヴィー
私は今、『クレッシェンドで生きよ』という本を書いていて、「あなたが目指すものは、人生の先にある。だから過去を見ないで未来を見よ」という内容なのですが、まさに郷さんは、それを実践しておられます。しかも、継続的にスキルと内面を磨き、どんどん成長をされている。郷さんは私の本の最高のロールモデルになる方だと思いました。
竹村
郷さんの実践されている「思考、行動、継続」は、『7つの習慣』の考え方と見事に一致しています。言い換えると、まさに『7つの習慣』を習慣化されている。私は郷さんの60代の大きなサクセスをお祈りすると同時に確信しております。
ありがとうございます。僕も今回、『7つの習慣』のDVDを拝見して、自分のことを再確認できたり、あるいは新たな発見をたくさんしたり、非常に共感できました。特に印象的だったのが、大きな木の話です。
大きな木がある。外からはわからないけれど、土中深くに強く太い根を張っているからこそ大きく育ち、風雨に耐えることができる。そんな木が何本も立っていて、土の中ではお互いの根が絡み合い、協調し、助け合っている。華やかなパフォーマンスの裏側でバタバタもがきながら、いろいろな苦労をしている僕自身が、その木の話とリンクしてとても引きつけられました。
60代の成功というのが、歌手としての成功か、人間としての成功か、実は僕の中でもまだわかりませんが、足りないところを補って、もっともっと大きく成長していきたいと思います。そして、僕の友達も、家族も、周りのスタッフも、皆それぞれが大きな木に育って、皆がしっかり根の部分でつながり、支え合っていけたら、きっと素晴らしい人生になるような気がします。そのためにはまず、自分自身が納得できる人物になっていかないといけませんよね。
コヴィー
郷さんは、まさに「インサイド・アウト」の人ですね。どういう思想をベースに、どういう生き方をしたいかというビジョンを持ち、周囲の価値観にとらわれることなく、しかし、きちんと協調しながら、実践されている。揺るぎない自信と同時に謙遜を持ち合わせ、豊かな精神に基づいた誠実さ、そして知性を持ち合わせています。その完璧な精神状態を維持されていることに感服いたします。
進むべき道を理解され、輝かしい未来を明確なビジョンとして思い描いておられる郷さんには、きっと素晴らしい未来が訪れることでしょう。お目にかかれて光栄でした。このような機会をいただけたことに心から感謝いたします。
竹村
長期にわたる実践を通した実りのあるお話が伺えました。本日は、ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。

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