ミッション・ステートメントは、自分が自分であるための宣言であり、自らの中心の在りかをはっきりと表すものです。
ナチスドイツの収容所に捕えられた経験を持つ心理学者のビクター・フランクルによると、「人生におけるミッションというものは、つくるものではなく発見するものである」ということです。つまりミッションとは、すべての人がもともと持っているものだというわけです。
また、「すべての人は、人生における独自の仕事あるいはミッション(使命)を持っている。その点において、誰もその人の代わりになることはできない。そして自分の人生を繰り返すこともできない。したがって、すべての人に与えられている使命とそれを実施する機会は、その人独自のものである」とも言っています。
その人だけが持っている「使命」=ミッションとは、自分しか気づかないものでもあり、自分自身で問いかけなければ表されることもないのです。
このあと、いくつかの方法と具体的な質問を用意していますので、この機会に、あなたに内在するミッションをぜひ、表現してほしいと思います。すぐには完成しないかもしれませんが、むしろそのほうが自然です。数週間あるいは、1年かかってもチャレンジし続けてください。完成したときの感動は、書き上げた人にしかわからないでしょう。
また、ミッション・ステートメントは、書き上げるプロセスそのものに意味があります。出来上がったものと同じぐらい重要です。
ミッション・ステートメントを書く、あるいは見直すプロセスの中で、深くものごとを考え、自分にとって本当に大切なことを発見する過程は、人を変える力さえ持っているといえるでしょう。
今回はいくつかの質問を自分に問いかけてみましょう。ミッション・ステートメントを書く準備といったところです。難しく考える必要はありませんので、気づいたことをメモしておきましょう。
ミッション・ステートメントを導くための質問
■今日はあなたの80回目の誕生日です。お祝いにたくさんの人が集まってくれています。あなたはどんな人に囲まれ、どんな話をしていますか?どんなプレゼントをあなたはもらったのでしょうか?また、そこであなたの大切な人は、なんと言ってお祝いをしてくれていますか?
■次の質問についてじっくり考えてみましょう。
- あなたの最大の長所はなんですか?
- あなたの親友は、あなたのどういうところが好きなのでしょうか?
- あなたは、何をしているときが一番楽しいですか?
- あなたの尊敬する人はどのような人ですか?
- あなたの人生に最も影響を与えた人は誰ですか?
- これまでに、あなたが最も幸せだと感じたことは何ですか?
- なぜそう感じたのでしょうか?
- もし、時間と資源が無限にあるとしたら、あなたは何をしますか?
- もし、あなたが100億円を自由に使えるとしたら、何に使いますか?
- 今とは違った道を選んだとしたら、何をしていますか?
- 好きな仕事を選べるとしたら、何をしますか?
- それはなぜですか?
- なぜ今の仕事をしているのですか?
- あなたにとって家族とはなんですか?
- あなたにとってもっとも大切な人は誰ですか?
- その大切な人にとって価値あることで、あなたにできる最良のことは何ですか?
- あなたに埋もれた才能があるとすれば、それはなんでしょうか?
- 今はやってないが、本当はすべきだと思っていることはなんでしょうか?
- あなたの人生において、重要な役割とはなんでしょうか?
- 各役割において、成し遂げなければならないことはなんでしょうか?
- あなたはどんな人になりたいですか?
- そのためには、何をすればいいのでしょうか?
新たな発見や気づきがあったでしょうか。次回は、具体的なミッション・ステートメントの作成にとりかかります。