第7回 効果的な会議を行う①フロントローディング(会議前の前倒し作業)

ビジネスにおいて、コミュニケーションは多くの場合、会議によって行われます。特に部署を横断したプロジェクト、顧客へのプレゼンテーションや報告、役員へのプレゼンテーションなど、会議の重要性は高くなります。効果的な会議の運営方法を紹介しましょう。

生産的な会議を実現する3つのステップ

会議本来の役割を忘れ、ビジネスの進展が何もない場合やむしろマイナスになるケースすらあります。たとえば、こんな具合です。

週末の出来事などを互いに話しながら全員が部屋に入ってきた。会議はなかなかエンジンがかからず、皆が勝手なことをいい合っている。すると誰かが厄介な問題を持ち出し、会議は一瞬にしてぶち壊しになり、非難の応酬や責任のなすり合いが始まる。皆が怒って出て行った後、あなたはひどく後味の悪い思いをする。スケジュールをチェックしてみたら、今週そんな類の会議が10もあることに気づく。会議を適切な方向に持っていくにはどうしたらいいだろうか?

会議におけるあなたの影響力と会議の結果を改善することで、チームや組織の生産性を容易に高めることができます。ここでは、生産的な会議を実施する上で役立つ、【ステップ1】フロントローディング(会議前の前倒し作業)、【ステップ2】フォーカス(会議中)、【ステップ3】フォロースルー(会議の最後と会議後)という3ステップのプロセスを紹介します。

【ステップ1】 フロントローディング

会議のフロントローディングとは、単なる会議の計画以上のことを意味します。それは、最優先事項に焦点を合わせ、人々を結集させ、明確な方法でそれらの最優先事項を達成できるからです。フロントローディングするということは、「目的を持って始める」ことです。次に紹介する5つのプロセスを各会議の状況に合わせて、カスタマイズしてください。

1.会議の目的と目標を定義する

会議が失敗する大きな原因の1つは、リーダーが会議の目的をはっきりさせず、その目的に到達する方法を知らないためです。それを防ぐには、次の項目を実行しましょう。

  1. 会議の目的を書く。あなたが望む結果と、その結果が自分の会社あるいは組織にどう役立つかも書く。明確な戦略的方向性を決めることで、会議で期待されていた成果につながらない、あるいは組織の成功に役立たない事柄に時間やエネルギーを使わずに済む。
  2. 具体的な目標を設定して、それらに優先順位をつける。
    • 「予算」といった漠然とした議題項目を避ける。その代わりに、「来年度予算に対する実際のニーズを確認し、予算申立書を作成する」のような具体的な目標にチームのエネルギーを集中する
    • 重要性に応じて、あるいは時系列で、目的に優先順位をつける
    • 優先順位づけされた目的のリストを使って会議の議題を作成する
  3. 適切な会議の進め方(たとえば、討議、対話、ブレーン・ストーミング、プロトタイピング、中継、重点投票、優先順位づけ、プレゼンテーション、適用、問題解決など)を選ぶ。

2.会議に最適な形式を決める

対面方式、テレビ会議、電話会議、など各種の会議形態を選ぶことができます。適切な会議方式を見つけることは重要です。形態を選ぶとき、出席者のいる場所、会議中に行う必要があるプレゼンテーション、必要とされる討議の量、論ずべきテーマなどに基づいて、各会議形態のコストと効果を比較検討しましょう。

3.チームのメンバーと、各メンバーの責任を明確にする

誰がファシリテーターになるのか、誰がプレゼンテーションを行うか、誰が会議の各種運営など、その他の役割を行うのか決定します。これらの人々を出席者リストの先頭に置くことがポイントです。その上で、次のことを自問してリストを完成させましょう。

  • 誰が出席する必要があるか? その理由は?
  • 彼らの優先事項、関心、ニーズは何か?
  • 彼らの決定力は何か?
  • 彼らは目標の達成に貢献することができるか? 彼らは会議の前に何をすべきで、何を知っておくべきか?
  • 各人の出席理由を正当化することができるか?
  • 他の人々に対して、会議に招かれなかった理由をどう説明するか?

4.実務業務を考慮する

実務業務を常にコントロールすることは不可能ですが、それはしばしば会議の成否を左右し、雰囲気に影響を与えます。たとえば、時間通りに開始・終了し、順調に運営された快適な環境での会議は、運営が拙劣で終了時間が延び、照明が暗く狭苦しい部屋で行われた会議よりも、効果的です。もしビジュアルが会議の重要な要素ならば、インターネットを活用した会議のほうが電話会議より効果的かもしれません。

会議を計画する際、次の点に注意しましょう。

  • 場所:社内会議を開催する際、社外会議のコストと、中断の可能性とを比較検討する。長時間にわたる、重要度の高い会議の場合、社外への移動(環境を変えての会議)がよい結果を生む場合がある
  • 時刻と所要時間:どの程度の時間を会議のために予定しておくべきかわかるよう、チームメンバーには周知徹底する。会議時間はできるだけ短くする。時間通りに始め、時間が足りなくなったら調整して定刻に終わらせる。長時間にわたる会議の場合は、2時間ごとに休憩を入れるようにする
  • 装置と備品:きちんと機能する適切な装置や備品を確保する。故障や装置の準備ミスは会議の効果をたちまち損なってしまう
  • 座席の配置:どのメンバーからもフォーカスされた貢献を引き出せるようなレイアウトで、部屋のテーブルと椅子を配置する

5.チームのメンバーに会議の通知をし、議題を配布する

可能なら、前もってチームメンバーに会議の議題を配布します。準備資料か先行資料(たとえば、予算数値、現行提案、報告草案など)を配布し、チームメンバーが会議のための準備時間を持てるようにしてください。会議における役割と分担を各メンバーに知らせます。できれば、Outlookや他の共有スケジューラーを通じて出席者に通知するといいでしょう。

次回「効果的な会議を行う(2)」続く