前回は、人格と能力の両方がそろわなければ信頼は生まれないというスティーブン・R・コヴィーの考え方を紹介しました。つまり信頼され得る人になりたくば、それは結果的に人格と能力を鍛えていくことに他ならないというわけです。
『スピード・オブ・トラスト』の著書スティーブン・M・R・コヴィーによれば、人格は「誠実さ」と「意図」、能力は「力量」と「結果」という核から構成されています。この4つをスティーブン・R・コヴィーは、「信頼性の4つの核」と呼んでいます。
あなたはこれまでに信頼できる人物であるかどうかを、他人に試された経験はありますか。あなたが現在の会社に入社したときのことを思い出してみましょう。
採用面接を受けたとき、どのようなことを尋ねられたか思い出してみましょう。
採用面接の質問は、大まかに以下の4項目に分かれるのではないでしょうか。
■「誠実さ」を問うもの
- 「なぜこの会社を志望されましたか、何ができると思いますか」
- 「これまでどのような価値観を持って仕事をしてきましたか」
- 面接官の確認項目:
- どのような価値観を持っているか、話に一貫性はあるか
■「意図」を問うもの
- 「この会社に入って何をしたいですか、それはなぜですか」
- 「この業界を、今後どのような方向に持っていきたいですか」
- 面接官の確認項目:
- どういった意図を持っているか
■「力量」を問うもの
- 「あなたの得意なことは何ですか、何ができますか」
- 「あなたの強みを教えてください」
- 面接官の確認項目:
- 何ができるのか
■「結果」を問うもの
- 「あなたは何を結果として残しましたか」
- 「あなたが成し遂げた成果を教えてください」
- 面接官の確認項目:
- どういった結果を出してきたのか、主張する「力量」に裏付けはあるか
あなたが採用面接で受けた質問を信頼性の4つの核に当てはめれば、どれかに当てはまるのではないでしょうか。このことは、信頼性の4つの核が、人を信頼するかしないかを判断する、ための手がかりとして有用であることを示しているといえそうです。
信頼性がこの「4つの核」で構成されているというフレームワークを知っていれば、自分がどの部分が弱いのかを考察し、その部分を修正することで、信頼性を高めることができるでしょう。
次回よりそれぞれの核について考えていきましょう。