今回から4回に渡って、「信頼性の4つの核」について考えていきましょう。「信頼性の4つの核」については、第七回にて復習してください。
1回目は人格を構成する誠実さを取り上げます。誠実さについて考えるに当たって、以下のワークに取り組みましょう。それぞれの行においてあなたが左側の文章に近ければ1に近い値を、右側の文章に近ければ5に近い値をつけましょう。中間くらいならば3となります。
「罪のない嘘」を言って自分を正当化したり、誰かのことを、あるいは何らかの状況を意図的に誤って伝えたり、得たり結果を得るために事実を曲げたりすることが時々ある。 |
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私はいついかなるときも、他者とのやりとりにおいて100%正直である。 |
自分が思っていることと言うことが一致しない、自分の行動と価値観が一致しないことが時々ある。 |
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私の言動は、心の中で考え感じていることそのものである。言行は常に一致している。 |
自分の価値観が今ひとつはっきりしない。反対意見が出ると自分の意見を主張しきれない。 |
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自分の価値観がはっきりわかっている。勇気を持って自分の価値観を主張できる。 |
別の人が正しいかもしれないことを認めようとしない。あるいは、別の情報があっても、自分の考えを改めることになるかもしれないから、そのような情報の存在を認めようとしない。 |
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問題点を考え直すことになっても、あるいは自分の価値観を改めざるを得ないことになっても、新しい考え方を知る機会を心から受け入れる。 |
自分の目標や自分への約束を立てても、なかなか果たせない。 |
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自分自身にも他者にも、約束したことは必ず果たしている。 |
合計値はいくつでしょう。もちろん得点が高いほど、あなたの誠実さは高く、完成されたものであるといえます。定期的にこれらの質問をあなた自身に問いかけ、あなたの誠実さを測定することは非常に意義のあることといえるでしょう。
次は、どのようにすれば誠実さを高めることができるか考えましょう。誠実さと聞くと、多くの人は「正直であること」と答えるようです。正直さは誠実さの必要条件ですが、十分条件ではありません。スティーブン・M・R・コヴィーは次の3つの要素を、誠実さを構成する要素として挙げています。
1.一貫性
言行一致という言葉でも説明することができます。自分の信念や原則と、行動が一致しているとき、その人物は一貫性のある人間と呼ぶことができるでしょう。
2.謙虚
謙虚とは、弱いとか寡黙ということではありません。自分を表に出さないということとも違います。原則を認識し、それを自分自身よりも優先するということです。
3.勇気
困難な状況においても、正しいことを選択し、実行する勇気も誠実さには欠かせません。周囲の人たちの勇敢な行動を目の当たりにすると、自然と勇気が湧いてくるものです。
これらを意識したところで、誠実さを身につけるためのスティーブン・M・R・コヴィーのアドバイスを紹介しましょう。あなたなりの「誠実さを身につけるための心がけ」も考えましょう。
- 自分は他者と会話するとき、常に正直であろうとするか
- 自分は「言行一致」といえるか
- 自分の価値観をはっきり理解しているか
- 自分の価値観を貫くことに苦痛を感じないか
- 問題の再検討を強いられたときに、新しい真実を受け入れることができるか
- 約束したことを常に守っているか
最後に、誠実さを身につけるのに有効な「促進手段」を3つ紹介します。
1.自分との約束を守ろう
自分との約束を守れなければ、他者との約束を守ることなどできないのです。自分との約束を守るたびに、その約束の大きさに関係なく、自信が膨らんできます。それを続けていくと、自分自身や他者ともっと大きな約束をしても、それを守ることができるようになるのです。多すぎる約束、衝動的な約束は、逆に誠実さを損なうことになるので注意しましょう。
2.信念を貫こう
まずはミッション・ステートメントを作成して、あなたが忠実に守りたい価値観や信念を見極め、言葉で表現します。自分にとって何が重要かわかっていれば、価値観を実践するのが難しい状況でも、苦闘することなく最後まで信念を貫き通すことができ、あなたが信頼されるようになるのに大いに役立つはずです。
3.広い心を持とう
自分が知らない現実や原則が世の中に存在することを認める広い心は、人々に信頼感を与えます。新しい考え方、可能性、成長に対して広い心を持ち続けることができれば信頼配当を生み出し、それができなければ信頼を損ないます。
次回は「信頼性の4つの核」のうち、意図について考えましょう。