第24回 「信頼されるリーダーの13の行動」  (12)コミットメントし続ける

「信頼されるリーダーの13の行動」もあと2つになりました。さて、今回紹介するのは「コミットメントし続ける」という行動です。約束をして、それを守るということで、この行動は、家族、その他、どんな関係においても信頼を築く最短ルートだといえます。

それでは初めに、あなたの現状を評価してみましょう。あなたが、普段から約束をし、守っていれば10点、逆の行動や偽りの行動が多ければ多いほど0点に近くなります。自分の言動を振り返って、点数をつけてください。

行動

逆の行動、偽りの行動

現在の成績

コミットメントし続ける

  • 約束に違反する
  • 漠然とした、ごまかしやすい約束をするか、約束を全くしない

/10点

「コミットメントし続ける」とは

前述したように、「コミットメントする」とは、相手と約束をして、それを守るということであり、言い換えれば、責任を持って他者とかかわること、そうすることを明言すること、といえるでしょう。

約束を守っていれば信頼されますが、一度でも約束を破ったら、それまでに築いた信頼が一瞬で崩れ去ってしまうことも考えられます。つまり、安易に約束をすることも慎まなければなりません。約束をするという行為には慎重さが求められるのです。

「コミットメントし続ける」の逆の行動には、漠然とした、あるいはごまかしやすい約束をすることや、約束を守れないことを恐れて、そもそも約束をしないといったことです。こうした態度は、一見すると安全策のように思われるかもしれませんが、勇気に欠け、相手からの期待もそぐことになるため、ビジネスでも家庭でもまず通用しません。

特に企業が提供する製品やソリューションにおいては、商品内容に際立った違いが見られない中でインパクトを与えなければならないので、人々の目を引くようなコミットを行い、実行する必要があるでしょう。

「コミットメントし続ける」という行動は、誠実、パフォーマンス、勇気、そして謙虚さの原則に基づいています。「率直に話す」や「結果を出す」などの行動とも密接に関係し、人格と能力が完璧にバランスをとれている状態です。特に「誠実さ」(人格)と、有言実行の「能力」(能力)を必要とします。

信頼への影響

信頼について議論するとき、最大の要因としてよく挙げられるのが、この「コミットメントし続ける」という行動です。倫理性の高い文化を構築する上で「コミットメントし続ける」ことがとても重要であることは、さまざまな調査結果でも明らかになっています。約束が守られれば、希望、自信、信頼がもたらされ、これらが弾みとなってスムーズに成果が達成されます。

一方、この行動が信頼に破壊的影響を及ぼすことも事実です。多くの人は、企業は正直さ、誠実さ、そして品質を消費者に約束していると考えています。そうした暗黙の約束が破られると、即座に不信が生まれ、信頼口座からの巨額な引き出しがなされます。約束違反は疑念、皮肉、不信を生み、これが物事を前進させる車輪を錆びつかせるのです。

これらの作用は、ビジネスでも個人の人間関係でも全く変わりません。

一番大切な約束

人は仕事上の約束となると真剣に考えますが、家族との約束はいい加減になりがちです。自分が働くことで家族を養っているのだから、多少のことは我慢してもらわなければと、家族との約束を軽く考える傾向があるのかもしれません。

しかし、家族との約束は仕事上の約束に劣らず、むしろそれ以上に重要だとスティーブン・M・R・コヴィーは語っています。「コミットメントし続ける」という行動が信頼に大きな影響を与え、信頼が家族の文化の繁栄に欠かせないものだとすれば、家族との約束は他の何よりも大切にするべきものなのです。

結局、他者とコミットメントし続けるカギは、自分との約束を守ること、それに尽きるのではないでしょうか。それがすべての出発点であり、一番大切な約束でもあるからです。

そうした行動の積み重ねが、他者との信頼関係を築く力と自信、すなわち自分自身への信頼を身につけていくことにつながっていくのです。

信頼を高めるヒント

「コミットメントし続ける」のスイート・スポットは、きちんと約束をして、それを誠実に守ることです。

曲線の左端は、きちんとした約束をしていないか、約束したことをしっかり守っていないか、などが考えられます。その場合は「誠実さ」を高めたり、相互利益の「意図」を強化する努力をしましょう。また、「コミットメントし続ける」ための力量を身につけることも必要になりますし、信頼を構築した際に得られる成果について明確な期待やビジョンを描く習慣をつけるのも、効果的かもしれません。

逆に右端に位置している場合は、安易な約束をしすぎたり、状況の変化によって実益や意味が失われた約束まで果たそうとしているのかもしれません。そういう場合は、この講座の第7回~第11回で学んだ「信頼性の4つの核」をすべて強化して判断力を身につけましょう。中でも「誠実さ」に注目し、守れない約束や、守るべきではない約束をした場合の結果について、自分なりに考察してみてください。


それでは、「コミットメントし続ける」ために役立つ点を、具体的に紹介しましょう。

  • 新しい関係を確立し、信頼を早く築きたいと思ったら、約束をし、それを守り、それを何度も何度も繰り返すための「有意義な理由」を見つけよう。「約束をする―守る」というプロセスを繰り返しているうちに、信頼口座の残高がどんどん増えていくはず。
  • 今度、あなたが職場で誰かと約束をするときは、それが実現可能なことかどうか、しっかり確認しよう。大風呂敷を広げておいて達成できずに終わるより、たとえ相手を落胆させることになっても、この確認を前もってやっておいたほうがずっとましである。
    そして、約束したことは必ずやり遂げること。期限に間に合いそうもないときは、なるべく早く条件について再交渉しよう。それを怠って期限に遅れるのはもっての外である。
  • 家庭では自分の発言に責任を持つようにしよう。あなたが何かをすると言ったら、家族はそれを約束として受け止める。自分が口にしたことを真剣にとらえ、やると言ったことは最後までやり通すことが大切である。家庭での信頼はあらゆる信頼の中で最も重要だということを認識しなければならない。

まとめ

「コミットメントし続ける」とは、約束をして、それを守ること。約束は慎重に行い、必ず実行する。約束を守れなくても言い逃れをしない。

根底にある原則は、誠実、パフォーマンス、勇気、そして謙虚さである。

逆の行動は、約束を守らないこと。

偽りの行動は、曖昧でごまかしやすい約束をすること、約束自体をしないこと。

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