第23回 「信頼されるリーダーの13の行動」  (11)まずは耳を傾ける

「信頼されるリーダーの13の行動」の残り3つの行動は人格と能力の要素を両方必要とします。その1つめ、「まずは耳を傾ける」について考えてみましょう。

「まずは耳を傾ける」の背後にある原則は、理解、尊敬、そして相互利益です。

この行動の逆は、まず自分が話し、その後で相手の話を聞く、あるいは全く聞かないということになります。相手が何か言おうとしていたり、自分とは違う優れた視点を持っていることには目もくれず、自分の思惑を実現することだけに躍起になります。しかも相手の準備が整う前から話し始めたりします。どれも自己中心的な行動であり、これでは信頼を築くことはできません。

「まずは耳を傾ける」という行動は非能率的で、時間がかかりすぎると考える人たちがいるかもしれません。しかし、この行動は非常に実利的でもあり、信頼を確立し、さらにはスピードとコストにも大きな好影響を及ぼします。

ピーター・ドラッカーは、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌の中で、有能な経営者の行動8項目を挙げ、最後をこう結んでいます。

「有能な経営者たちがとる8つの行動をここまで見てきた。最後にもう1つ、ある行動を追加したい。それは極めて重要であり、私はそれを自分のモットーにしている。まず耳を傾けよ。話すのは最後でいい」

ドラッカーがこのように語るのは、「まずは耳を傾ける」ことにより、洞察力や理解力が深まるからではないでしょうか。意思決定もより適切に下せるようになり、相手を尊重し、安心感を与えることにもつながります。つまり、信頼に与える効果は計り知れないものとなるのです。

「まずは耳を傾ける」ことで、信頼されるための「糸口」を手にすることができます。どう振る舞えば特定の信頼口座への預け入れとなり、どういう振る舞いだったらならないのか、それが少しずつ見えてくるのではないでしょうか。そして、そこをしっかり理解できるようになれば、コミュニケーションのスピードも増すことでしょう。なぜなら、関係を構築しようとしている相手と感情や視点を共有することになるからです。

これから誰かと会話をするとき、次のことについて意識してみましょう。

「自分は本当にこの人の話に耳を傾けているだろうか。この人が思っていることを本当に理解しているだろうか」と冷静な気持ちで自問し、もししていなければ、すぐに実行することです。自分自身の思惑は脇に置き、自分の意見を述べる前に相手の考えを理解することを心がけましょう。

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