第22回 「信頼されるリーダーの13の行動」  (10)アカウンタビリティ(結果に対する説明責任)を果たす

10番目の「信頼されるリーダーの13の行動」は、「アカウンタビリティ(結果に対する説明責任)を果たす」です。

ゴリンハリス社の2002年世論調査によると、信頼構築に必要な要素の第2位が、「自ら責任とアカウンタビリティを引き受けること」だったそうです。また、プライスウォーターハウスクーパースは、社会的信頼を築く上で鍵を握る3つの要素の1つに「アカウンタビリティの文化」を挙げています。

この「アカウンタビリティを果たす」という行動には、2つの側面があります。1つは「自分自身がアカウンタビリティを果たす」ことであり、もう1つは「他者にアカウンタビリティを果たさせる」ことです。信頼を生み出すリーダーはこの両方を実行しているのです。

ジェームズ・コリンズによると、「窓と鏡」というそうですが、何か問題が起きたとき、窓の外を眺める、つまり他者を見て非難するのではなく、鏡を見る、つまりその状況における自分の責任に目を向けることが大切です。

この行動は、アカウンタビリティ、責任、監督責任、所有者意識の原則の上に成り立っているもので、逆の行動は、責任を取らないこと、シラを切ること、「私のせいではない」と言うことです。また、偽りの行動は、他者を名指しで非難し、「彼らのせいだ」と言うことです。

では、この行動は信頼にどんな影響を及ぼすでしょうか。次の例で考えてみましょう。

NFLのサンフランシスコ・フォーティーナイナーズのクォーターバックで、殿堂入りを果たしているスティーブ・ヤングは、大事な試合の最終シリーズにおいて、ある地点にパスを送りました。ところが、当然そこにいるはずのレシーバーがいなかったためにパスは敵の手に渡り、フォーティーナイナーズはこの試合に敗れてしまいました。

試合後、ヤングは「レシーバーが間違ったコースを走っていたようだが、どうしてそうなったのか」と質問されました。実際、その通りだったので、普通ならその指摘に同調して、自らの責任を回避したいところだったでしょう。しかし、ヤングはこう答えたのです。

「私がインターセプトされるようなパスをしてしまった。私の責任だ。このチームのクォーターバックである私の力不足だ」 と。

実情を知らないファンや解説者はヤングを痛烈に批判しました。しかし、レシーバーのミスであることを知っていたコーチや他の選手たちは、自ら責任を背負い込んだヤングに対し、さらなる忠誠心と信頼を寄せたのです。

今日の社会では、「いじめ」が蔓延しており、自ら責任を取り、アカウンタビリティを果たすことは、ますます難しくなっています。

言い換えれば、「アカウンタビリティを果たす」ということは、このいじめという普遍的かつ圧倒的な悪しき文化的現象からの180度の転換を意味します。

「成功には多くの父親がいるが、失敗は孤児である」とはロシアの格言です。だからこそ、責任を取ることが信頼を築く上で非常に効果的なのです。いじめは依存と不信を生み出しますが、「アカウンタビリティを果たす」行動は自立と信頼を築きます。そして、その効果は幾何級数的といっていいほど膨大です。

人々、特にリーダーが自ら責任を果たせば、周囲にもそれが波及していくものであり、リーダーが「もっと上手くやれたと思うし、そうすべきだった」と言えば、周りの人間も、「いえいえ、私こそ、それに気づくべきでした。もっと私がサポートしていたら」と呼応することでしょう。

これは、夫婦や家族の関係にも当てはまります。「ごめんなさい。つい衝動的になってしまって、2人で約束したことを破ってしまったわ」「怒鳴ったりしてすまない。悪いことをした」、などと一方が言えばアカウンタビリティを認めることになり、相手も同じように行動するようになります。そうしていくことで、徐々に信頼に基づいたオープンな環境を築いていけるようになるはずです。

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