今回は「信頼されるリーダーの13の行動」の4番目、「間違いを正す」です。
それでは初めに、あなたの現状を評価してみましょう。あなたが、普段から間違いを認めたらすぐに謝っていれば10点、逆の行動や偽りの行動が多ければ多いほど0点に近くなります。自分の言動を振り返って、点数をつけてください。
行動 |
逆の行動、偽りの行動 |
現在の成績 |
---|---|---|
間違いを正す |
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/10点 |
「間違いを正す」とは
「間違いを正す」とは、ただ謝るだけではなく、償いをするということです。「信頼されるリーダーの13の行動」の中で、この「間違いを正す」ことほど難しいものはないかもしれません。人間は誰でも間違いを犯しますが、そのことによって自分の評価が下がるのは嫌なものです。誰かの間違いを指摘するのが得意な人はいても、自分の間違いを正すことが得意な人はなかなかいません。
「間違いを正す」という行動は、謙虚、誠実、償いの原則に基づいています。その逆は、自分の間違いを認めなかったり、開き直ったりすること、不正行為を正当化すること、問いただされるまでミスを認めないことなどです。そこには、自分さえよければいいというエゴやうぬぼれが関係しています。
また、「間違いを正す」における偽りの行為は、隠ぺいすることです。間違いを隠せば税金を払う必要がなくなりそうですが、過ちを犯した時の税金と、間違いがばれた時にそれまで隠していた税金を二重に生み出すので、支払う信頼税は莫大なものになります。
信頼構築への影響
内容にもよりますが、皆さんは自分の間違いに気がついたとき、どのようなことを考えるでしょうか。すぐに謝って正すべきだと頭ではわかっていても、その一方で、その間違いによる責任を問われないようにするにはどうしたらいいか、と考えてしまうかもしれません。
「間違いを正す」ことにおいて大切なポイントは、自分の間違いを認めて正す努力をするまでに時間をかけないことです。間違いを犯したとき、それを直ちに認めて謝罪すれば切り抜けられたのに、それを認めず謝らなかったために、元々はたいしたことがなかった出来事がはるかに大きな問題に拡大し、事態がさらに悪化してしまうことはよくあります。
遅くなっても謝罪して償ったほうが、全くしないよりはましですが、信頼を構築したり回復したりするためには、時間をかけずに正すほうがずっと効果的です。「誰にも言わなければわからないだろう…」「何とかごまかせないだろうか…」といった心の声に打ち克ち、自分の間違いを認め、謝罪し、償うという謙虚と勇気の道を選択するためには、強い人格が必要なのです。つまり、スティーブン・M・R・コヴィーが『スピード・オブ・トラスト』の中で語っているように、「問題は、間違いをするかどうかではなく、間違いにどう対処するかだ」なのです。
信頼を高めるヒント
「間違いを正す」という行動を下のグラフに当てはめてみると、曲線の左側(間違いを正すのが不十分)は、正直や謙虚、勇気、心遣い、行動と求める成果の調和などに努力する必要があります。逆に、同じ間違いを繰り返して何度も謝る状態である右側にいる場合は、一貫性や動機、あるいは「信頼性の4つの核」すべてを強化・結合して間違いが起きる根源を断たなければならないでしょう。
「グラフの最適化の鍵は、それぞれの行動を『信頼性の4つの核』の最も高いレベルで組み合わせることだ」とスティーブン・M・R・コヴィーはいいます。そうすることにより、行動を応用する判断力が最大化されて、信頼関係を支配する原則と調和するようになるのです。それでは、「間違いを正す」のに役立つ点を、具体的に紹介しましょう。
- 今度、過ちを犯したとき、自分がどういう態度をとるか、注意深く見てみよう。見て見ぬふり、正当化、隠ぺいなどをするか、それとも、すぐにそれを認め、償うための措置を講じるか。あなたが今、間違いを直ちに正す謙虚さと勇気を持ち合わせていなければ、自分が目標とする人物の行動を真似るようにしよう。
- あなたの過去を振り返ってみよう。是正していない過ちがないだろうか。欠けている部分を補ったり、スパッと解決する必要があるような疎遠な関係はないか。こうした努力は途方もなく難しそうに見えるかもしれない。だが、過去の過ちにメスを入れることで、「一時的な激痛」に見舞われることがあるとしても、不信による「慢性の痛み」に比べれば我慢しやすいのだ。過去の過ちを本気で是正することによって得られる安堵感は測り知れないものがある。
- 今度、誰かに不当なことをされても、すぐに許してあげよう。その人が間違いを正しやすくしてあげるのだ。それによって相手は楽になるが、自分のためにもなる。
まとめ
「間違いを正す」とは、間違いを認め、謝り、償うこと。埋め合わせて元の状態に戻すための強い人格と迅速な行動が必要。
根底にある原則は謙虚、誠実、償いである。
逆の行動は、自分の間違いを認めない、開き直る、不正行為を正当化する、問いただされるまでミスを認めないことなど。
偽りの行動は、隠ぺいすること。