今回は「信頼されるリーダーの13の行動」の5番目、「忠誠心を示す」です。
それでは初めに、あなたの現状を評価してみましょう。あなたが、普段から表裏がなく、相手を立てていれば10点、逆の行動や偽りの行動が多ければ多いほど0点に近くなります。自分の言動を振り返って、点数をつけてください。
行動 |
逆の行動、偽りの行動 |
現在の成績 |
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忠誠心を示す |
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/10点 |
「忠誠心を示す」とは
「忠誠心を示す」とは、一般的に真心を込めて尽くすことを指し、誠実、忠誠、感謝、評価の原則に基づくものです。それを示す有意義な方法として、『スピード・オブ・トラスト』では、2つの要素にフォーカスしています。それは、他者に花を持たせることと、その場にいない人もいるかのように話すことです。
1)他者に花を持たせる
「他者に花を持たせる」とは名誉や勝利を譲ったり、相手を立てたりすることで、逆は自分の手柄にすることです。たとえば、仕事でよい結果、あるいは目標が達成できた場合、上司が手柄を独り占めするか、それともチームや関係者の功績を認めて名誉を共有するかで、信頼構築に大きな差が生まれることを想像してみてください。
「他者に花を持たせる」の偽りの行動は、表裏のある態度をとることです。ある人がそばにいるときはその人を買っているように話し、いなくなると悪く言う「二枚舌」がその典型です。
他者に花を持たせるやり方は、言葉や文章で功績や人柄を称えたり、大勢の前で発表したりなど、さまざまなものがあります。いずれの方法をとるにせよ、他者に花を持たせることで、信頼や経済効果をはじめとして、いろいろな影響力があらゆるレベルで大幅に高まることは間違いありません。
花を持たせた特定の部下との信頼を築くだけではなく、それを見ていた他の多くの人に対しても信頼を築くことができるのです。それは、今後の仕事において創造性の発揮、協調、アイデアの自由な共有などを通じ、信頼を飛躍的に拡大する環境を社員間に構築することにもつながります。
2)本人がいつもそばにいるつもりで話す
「忠誠心を示す」もう1つの方法は、誰かの話をするとき、その人がそばにいるつもりで話すことです。その逆の行動は、その場にいない人を裏切り、その人の考えや立場を尊重しないことです。偽りの行動は、本人の前ではおだてて陰では悪口を言ったりすることであり、これも逆の行動に劣らず信頼関係を破壊するものです。
興味深いことに、陰口を言う人は、そうすることでその場にいる人たちと感情を共有し、仲間意識のようなものが形成されると思っているようでが、それは全くの間違いです。陰で人の悪い噂をすると、それを聞いている人たちは、自分がいないときには同じようにされているだろうと考えることでしょう。
その場にいない人のことをどのように話すか、または話さないかは、信頼関係に大きな影響を与えます。それによって信頼が築かれる場合もあれば、あっという間に壊されもするのです。
そうはいっても、他者に関する話をしなければならないことはあります。よい内容ならそれほど問題にはなりませんが、そうとは限りません。勤務態度や業績に問題がある人について話し合い、解決しなければならないというケースもあるでしょう。ここで重要になるのは、他者について話す意図です。つまり、話す目的が不満を並べることではなく、目的は業績や人間関係を改善することであり、本人に直接話すときと同じようにフェアに話すのであれば、その場にいない人に対して忠誠心を示していることになるのです。あなたが人と話をするとき、その場にいる人についてもそうでない人についても、同じように敬意をもって話すということがわかってもらえれば、信頼を構築することができます。
信頼を高めるヒント
「忠誠心を示す」という行動をグラフに当てはめてみましょう。曲線の左端は、都合のよいときだけ忠実に振る舞う、他者に反対されると忠誠心を貫けないなど、ほんの少ししか忠誠心を示さない行動です。逆に右端は、ある人に対してその時点では極めて忠実そうな素振りを見せるけれど、その人の将来の幸福や原則には忠実ではない行動です。たとえば、ある人の犯罪行為を口外しないと約束したりする場合がこれにあたります。いずれにせよ、「誠実さ」(勇気や一貫性)、「意図」(動機や行動)、そして「力量」(信頼力)は、スイート・スポットを維持する上で大きな効果があります。
「グラフの最適化の鍵は、それぞれの行動を『信頼性の4つの核』の最も高いレベルで組み合わせることだ」とスティーブン・M・R・コヴィーはいいます。そうすることにより、行動を応用する判断力が最大化されて、信頼関係を支配する原則と調和できるようになるのです。それでは、「忠誠心を示す」のに役立つ点を、具体的に紹介しましょう。
- 今度誰かが人の陰口を言っているのを見つけたら、どう対応するべきか考えてみよう。自分もそれに加わるか、それともその場を去るか。さらには、その場にとどまりはするが、参加はしないか。その人のよい話を持ち出して会話のバランスをとるか。また、「本人のいないところでこんな話をするのは気が進まない。何か問題があるなら、本人と直接話をしよう」と言う手もある。その状況で最も原則に基づいた行動は何かを考え、それを実行することだ。
- 今度あなたが職場や家庭で人と一緒に何かをするとき、相手に花を持たせるようにしよう。全員の貢献が認められ、すべての人が感謝されるような環境を生み出す努力をしよう。他者を積極的に褒めることだ。
- 家族の悪口は絶対に言わないようにしよう。家族、特に子どものことを夫婦間で話すときは慎重でなければならない。子どもが何かよいことをしているのを見つけたら、それを他の人にも報告して喜びを分かち合おう。
まとめ
「忠誠心を示す」とは、他者に花を持たせる、他者の貢献を認める、その場にいない人のこともいるつもりで話す、陰で悪口を言わない、個人的な情報を公表しないこと。
根底にある原則は、誠実、忠誠、感謝、評価である。
逆の行動は、手柄を独り占めする、その場にいない人の悪口を言う、など。
偽りの行動は、裏表のある態度、本人の前ではおだてて陰では悪口を言うことなど。